研究概要 |
統合失調症について、遺伝子多型の研究で疾患群と対象群を比較する各ケースコントロールスタディーが行なわれてきたが、構造化による擬陽性が起こりやすい。ゆえに最近では、TDT(transmission disequiibrium test;伝播不均衡テスト)が、相関研究では有益であると報告されている、我々は今年度の科研費によって、まず第一にTDTサンプル収集を行なった。TDTを行なうためには統合失調症の罹患者とその両親の血液サンプルが必要であるが、我々は、倫理委員会の承認を得、文部科学省に基づく、インフォームドコンセントを患者とその両親から得た後に、血液サンプルを採取し、一部はリンパ球培養を行い株化をして保存し、一部はDNAとした。 二番目に血液のリンパ球における幹細胞の機能不全に関与するポリシアル酸合成酵素などの発現量を研究するために、今回の科研費で購入したCCDゲルドキュメントシステムを用いてRT-PCR解析のシステムを構築した。次に血液の中の幹細胞機能不全に関連する統合失調症のtrait markerを検索した。PSA-NCAMは有力なtrait marker候補である。しかし,血液中からはdetectできない。ゆえにまずはLipoprotein receptorsの発現量を研究した。Lipoprotein receptorsには,LRP,Megalin,LDLR,ApoER2,VLDLRの5つのタイプがある。これらのうち今回は,ApoER2とVLDLRについて統合失調症で調べた。その中で薬の投与していない統合失調症において、VLDLRが対照と比べて有意に低下していることを見出した。また、ApoER2において新しいK-variantを見つけ、その発現が統合失調症で定性PCRで多くみられることを見出した。
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