研究課題/領域番号 |
14657275
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学部, 講師 (60343480)
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研究分担者 |
田中 逸 順天堂大学, 医学部, 助教授 (40276499)
河盛 隆造 順天堂大学, 医学部, 教授 (00116021)
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キーワード | Activin / Neurogenin3 / Smad / 転写因子 / 膵ラ氏島 / 膵臓 / 分化 / 発生 |
研究概要 |
我々の、当申請における目的は膵島分化モデルであるAR42J細胞を用いて、activin A応答性のNeurogenin3(Ngn3)発現メカニズムを明らかにすることである。Ngn3の発現は膵前駆細胞から膵ラ氏島前駆細胞への分化に必須である。申請者らは、既に、ヒトNgn3遺伝子を単離し、その遺伝子構造を明らかとしている。一方ヒト膵癌由来細胞AR42J細胞がactivin A、HGF応答性にインスリン陽性細胞になることは、我々の共同研究者である小島至博士らが発表しており、この膵β細胞分化モデルは様々な点でin vivoの分化を反映した、世界でも有数の膵島細胞分化モデルと考えられている。また、小島至博士らはこの細胞をactivin A存在下で培養すると12時間後にngn3の発現が増加することを認めており、これはngn3の発現調節を検討するうえで、非常に貴重なモデルと考えられる。申請者らはすでに多数のNgn3プロモーターfragmentをもつLuciferase Reporter Constructを作製し、このactivin応答性の責任領域約50bpを単離した。この領域は、activin非存在下では、repressorとして働く領域であるが、acitivin応答性にそのrepressor機能が解除されるという非常に興味深い結果を得た。また、Gel-shift assayを用いた検討でこの領域に結合する転写因子がactivin応答性に減弱することを観察しえた。即ち、これらの事実はActivin応答性に転写抑制因子の結合能が低下することを示唆するデータと考えている。また、この反応はSmad7(抑制性Smad)を強制発現させてもこの応答性は維持され、Smad非依存性の情報伝達経路がNgn3の発現調節に重要であることが考えられた。これらの実験結果は、Smadを介するactivinの情報伝達機構では説明できない情報伝達機構の存在がNgn3の発現に重要であることを示唆する。現在のこの機序に関して検討中である。
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