研究概要 |
転写因子に結合するようにデザインしたoligonucleotideをdecoy(おとり)として標的遺伝子の転写を抑制し癌の制御を行うことを目的として、in vitroにおいて、細胞株にβ-catenin/TCF double strand Decoy oligonucleotide(以下、ODN)を投与することにより、TCF転写因子活性が抑制可能かどうかについて検討した。まず、beta-cateninの発現のないHEK293細胞にbeta-cateninを遺伝子導入し、TCF転写活性およびbeta-cateninの標的遺伝子であるcyclinD1 promotor活性、c-myc promotor活性、これら遺伝子のmRNAレベルの変化が塩基サイズの異なるTCF decoy ODN投与によりどのように変化するかを検討した。その結果、転写活性として、12、14、18塩基のTCF decoy ODNで転写因子活性の低下を確認し、14塩基のTCF decoy ODNを投与することで、cyclinD1,c-myc何れのpromotor活性およびmRNA levelの低下を確認した。 さらに、TCF double starnd 14mer ODNとそれぞれ1塩基、2塩基、3塩基配列の異なるODNを、大腸癌細胞株HCT116に投与し、細胞株におけるTCF転写活性変化の比較を行い、標的遺伝子としてのcyclinD1,MMP7 mRNAの変化、細胞増殖能の変化につき観察した。その結果、TCF double starnd 14mer ODNによってのみTCF転写活性の低下、標的遺伝子mRNAレベルの低下、細胞増殖能の抑制が観察された。
|