研究概要 |
本年度の研究では、(1)造血幹細胞の肝細胞への分化誘導の検討:臍帯血造血幹細胞を投与していないNOD/SCIDマウスの肝切片では人アルブミン陽性細胞は認められなかった。Radiation障害のみのマウスでは人アルブミン陽性細胞は切片中にごくわずかに認められるのみであった。一方、FasLを用いた肝障害を与えた群はradiationのみの群に比べアルブミン陽性細胞は増加を認めた。CD34^+, CD34^-での結果では両群ともに人アルブミン陽性細胞がみとめられ有意差は認められなかった。また、human CD45-PEのFACS解析においては、FasLおよびradiation処置を施したNOD/SCIDマウスではCD45-PE陽性細胞のピークが末梢血、骨髄、脾臓中に認められたが、FasLのみの群では末梢血でピークを認めるものの骨髄および脾臓中ではごくわずかであった。また、肝細胞に発現するalbumin, AFP, transferrin glutamine synthetaseヒト遺伝子のプライマを用いて、各条件下のマウス肝臓組織中のヒト由来肝細胞の存在をRT-PCR法を用いて検討を行い、マウス肝組織中ヒト臍帯血由来の造血幹細胞から分化できた肝細胞の存在が遺伝子発現レベルでの確認ができた。(2)マウス骨髄を用いた検討:四塩化炭素単独、放射線併用群で優位にGFP陽性細胞が、主に肝障害部位に集簇していた。さらに放射線照射の有無による影響を検討したところ、放射線照射マウスがよりGFP陽性細胞がより広範に観察された。移植後の経時的観察ではGFP陽性細胞が1週目から強く見られ3週目には陽性範囲も増加した。GFP陽性細胞は2重蛍光抗体法で検討すると、Factor VIII陽性の内皮細胞とアルブミン陽性の肝細胞の両者に分化していた。また、GFP陽性細胞は慢性肝障害モデルでは肝線維化巣に集簇していた。HNF-4とGFPの蛍光抗体2重染色では両者陽性細胞が肝小葉内に散見された。一方radiationを加えた群ではGFP陽性細胞は肝類洞内皮細胞に多く分化する事が確認された。
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