研究課題/領域番号 |
14657302
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小山 諭 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10323966)
|
研究分担者 |
神田 達夫 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80303147)
|
キーワード | 胃切除後患者 / ビタミンD受容体 / 遺伝子多型 / ビタミンD3 / 骨型アルカリフォスファーゼ(BAP) / オステオカルシン(OC) / 尿中デオキシピリジノリン(FDPY) / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
本研究は、ビタミンD受容体遺伝子多型が骨障害発生の危険群である胃切除後患者膜にどう影響をあたえるのかを明らかにすることを目的として開始された。 現在までに胃切除後患者107名について、ビタミンD受容体遺伝子多型をダイレクトシークエンス法で分析し、骨代謝マーカーはビタミンD3、骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、オステオカルシン(OC)、尿中デオキシピリジノリン(FDPY)を測定した。遺伝子型では転写活性の高いAA型15例(17%)、転写活性の低いGG型33例(38%)、ヘテロ接合体のAG型は38例(45%)であった。年齢、術後経過年数、胃切除術の患者背景にはこの3群間では差は認めないものの、AA型は男性の割合が多く、GG型は女性が多い傾向があった。BMDではAA/AG/GG型で0.85/0.82/0.81とGG型はAA型に比べ低い傾向があり、%BMDでもAA/AG/GG型で108%/100%/102%と同様にGG型がAA型より低い傾向を認めた。血清ビタミンD3値はAA/AG/GG型で57/61/62と有意な違いを認めなかった。骨吸収マーカーであるFDPY値はAA/AG/GG型で、それぞれ5.9/6.1/7.5とGG型が高い傾向を認めた。また、骨形成マーカーではBAP値が27.2/30.8/31.9と、OC値が9.8/8.8/10.6といずれもGG型で上昇しており、代謝マーカー上もGG型でAA型に比べ異化が亢進している傾向が認められた。骨粗鬆症と診断をうけて治療開始されてものはAG、GG型で6例認めたが、AA型は1例も認めなかった。 途中経過ではあるが、ビタミンD受容体遺伝子多型は胃切除後の骨代謝に影響を与える因子の一つである可能性が示唆された。 これらの結果の一部は、平成14年4月に京都で開催された第102会日本外科学会定期学術集会で発表された。また、さらに新たな検討を加えて平成15年6月に札幌で開催される第103会日本外科学会定期学術集会でも発表予定である。
|