研究課題/領域番号 |
14657309
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
|
研究分担者 |
永井 英司 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (30264021)
水元 一博 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (90253418)
|
キーワード | 膵癌 / 放射線照射 / 浸潤 / 転移 / MMP / MMP阻害剤 / c-Met |
研究概要 |
放射線治療は、膵癌治療における補助療法の中核である。我々は、放射線照射は膵癌の増殖を抑制するが、少なくとも2つの機構によって浸潤能・遊走能を促進することを報告した。 研究成果(1)MMP活性化に基づく浸潤能促進 Qian LW et al. Clinical Cancer Research,2002. 膵癌細胞株に放射線照射をすると線量依存性に浸潤能が促進された。Gelatin zymographyでMMP2の活性を測定すると活性型と潜在型のMMP2が放射線の線量依存性に増加していた。MMP阻害剤であるCGS27023Aを投与すると5uM以上でMMP2の活性型を抑制し、放射線照射によって促進された浸潤能を抑制することができた。このことから、膵癌治療で放射線を照射する時にMMP阻害剤を併用すると効果的な治療ができることが示唆された。 研究成果(2)放射線照射によるc-Metの発現増強に基づく膵癌細胞の浸潤・遊走能進 Qian LW et al. International Journal of Cancer in press. 膵癌細胞は、HGFによって浸潤・遊走能が促進され、この作用はc-Met受容体を介している。膵癌細胞に放射線照射を行うとc-Metの発現が促進され、このためHGF存在下で浸潤・遊走能が顕著に促進された。更に、c-Metの発現増強に伴ってリン酸化受容体p-Metも増加し、下流のシグナルであるMAP kinaseも活性が促進されていた。さらにHGFの作用を競合阻害できるNK4を投与すると、放射線によって促進されたHGF存在下の浸潤・遊走能が強く抑制された。このことから、放射線照射にHGF阻害物質であるNK4を併用することが効果的な治療法になると思われた。
|