研究課題/領域番号 |
14657315
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
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研究分担者 |
吉澤 誠 東北大学, 情報シナジーセンター, 教授 (60166931)
圓山 重直 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80173962)
江刺 正喜 東北大学, 未来科学技術センター, 教授 (20108468)
松木 英敏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134020)
仁田 新一 東北大学, 加齢医学研究所, 客員教授 (90101138)
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キーワード | 人工心筋 / ナノテクノロジー / ナノセンサ / 血圧反射制御 / エレクトロハイドローリック / ペルチェ素子 / 心室カップ / ポールスクリュー |
研究概要 |
心臓移植ドナー登録の著しい増大が見込めない現在、人工心臓の開発研究や組織工学技術を応用した心筋再生研究が注目されている。しかしながら、欧米で開発され臨床に応用されている人工心臓の多くは体格に小さい日本人には埋め込むことができないものがほとんどであり、また、再生医療による心筋機能の補助は治療効果の予測が難しいという点が指摘されている。本研究は、循環を補助するためには必ずしも心臓を置換したり、補助人工心臓のようなポンプシステムを制作する必要がないかもしれない、という新しい補助循環コンセプトに基づいて補助人工心筋を開発するものである。本年度は、昨年度世界で初めて開発されたエレクトロハイドローリック型人工心筋の心臓組織循環へ与える影響と循環系に対する血行力学的効果にとくに着目して動物実験による評価を進めた。すでにエレクトロハイドローリック型人工心筋による3例の慢性実験(最長期間3週間)を試み、慢性期においても心室補助効果を確認した。現在4例目の心室補助実験を施行中であり、同時並行して経費的情報電力伝送システムの動物実験も実施中である。これらの実験過程で取得されるデータは完全埋め込み型人工心筋開発へ逐一フィードバックされ、インテリジェント化した駆動方法の設定を進めた。また、人工心筋の機械要素は東北大学で独自に研究が進められているナノテク最先端技術を応用したセンサ、超小型アクチュエータ、自動制御アルゴリズム(DSPチップ)から構成されるものであり、科学研究費補助金などによる開発により、さらなる計測精度の向上とメカニズムの高効率化が進められつつある。金属結晶マトリクス配列を最適化した形状記憶合金を用いた超小型心筋アクチュエータは、従来の形状記憶合金の耐久性を飛躍的に上回る実測10億回オーダの繰り返し収縮性能が得られており、今後構造設計の最適化をさらにすすめることにより、必要なときに必要なだけ収縮補助を行うことのできる人工心筋が具現化することが期待される。完全に埋め込むことができる人工心筋などを開発することにより、特に高齢者などにおける循環不全にとって大きな福音になるものと期待される。
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