研究課題
実体顕微鏡による気管支壁の観察ヒト切除肺を用いて気管支壁の観察を行った。観察倍率を50〜500倍とし、また、観察対象である気管支壁を載せるステージの角度を変化させ、種々の拡大倍率と入射角を組み合わせて観察を行った。線毛は、透明でかつ非常に微細な構造物であるため、線毛自体の直接の観察は不可能であったが、弱拡大でも、線毛運動に由来すると考えられる、粘液表面の微細な揺れを観察することが可能であった。観察は、粘液表面に光の反射を作った場合にのみ観察されたため、主に効率よく反射が作成できる条件を検討したところ、入射角が25-40度の条件が観察に適していることが判明した。この条件下に、拡大倍率を500倍程度にすると、鞭状の構造物が高速に往復運動を繰り返している様子が観察され、弱拡大で認められた粘液表面の微細な揺れは、複数の線毛運動の協調運動により起こっているものと考えられた。画像処理実体顕微鏡を用いた観察により得られた画像をCCDカメラにより取り込み、ビデオテープに記録した。記録した画像を、パーソナルコンピュータを用いてデジタル化処理した。拡大内視鏡による気管支壁の観察市販の100倍程度の拡大観察が可能な消化器用の内視鏡を用いて、切除肺の観察を行った。気管支粘膜表面に光の反肘が起こった部位において、微細な光の揺れが観察された。この所見は、内視鏡システムの空間周波数強調処理により、より鮮明に認識可能となった。拡大率の大きな気管支鏡を開発することによって、気道の線毛運動を認識できる可能性が示唆された。
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