研究概要 |
骨髄細胞から肺胞上皮への分化の可能性を検証するために,骨髄からの細胞を特異的に区別できる方法を導入し解析する.すなわち、骨髄からの細胞がすべて蛍光を発する細胞に入れ替えて実験を行った.B6系マウスにおける致死放射線量と照射後に生存し得る骨髄細胞数を検討したところ,12Gy照射が致死量であることを確認,12Gy照射後のグリーンマウスからの骨髄移植細胞数は1×10^6個で生存率100%であった.B6系マウスに対しこの条件において照射後,グリーンマウスの骨髄を経静脈的に移植しキメラマウスを作成した.移植後1週,4週,12週に犠牲死せしめ移植骨髄細胞の肺組織(肺胞上皮,気管支粘膜上皮,肺胞間質)への移行を蛍光顕微鏡で検討した.移植後1週には肺組織内に蛍光陽性細胞が出現し,4週・12週後には蛍光陽性細胞数はさらに増加した.これらの蛍光陽性細胞の存在部位を特定すべく,キメラマウス肺を抗GFP冊抗体(蛍光細胞に対する抗体)にて染色し,明視野下で観察したところ,肺胞上皮,間質に陽性細胞が認められた.形態学的には肺胞においてはII型肺胞上皮や肺胞マクロファージ,間質においてはリンパ球や血管内皮細胞等が陽性を示していると思われた.この結果を得て,キメラマウス肺における蛍光細胞の分化を特定すべく,さらに抗GFP抗体と細胞特異的マーカーを用いて肺の連続切片にて検討中である.すなわち上皮系に反応するサイトケラチン,II型肺胞上皮に特異的な抗SP-D抗体やマクロファージに反応するF4/80,血管内皮細胞に反応する抗factorVIII抗体を用いて免疫組織染色を行って蛍光細胞の分化について検討中である.
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