研究概要 |
胎児がいかに母親の免疫系から保護されているかというメダワーの問いに対する解答としてIndoleamine-2,3-dideoxygenase (IDO)が報告された。本研究ではIDOを移植臓器に特異的に発現させることができれば、全身への免疫抑制を行うことなくLocal immunosuppressionが可能ではないかとの仮定の下に、実験を計画した。 マウス(C3H/He)の骨髄より単離された骨芽前駆細胞であるKUSA/A1細胞をドナー細胞として用いる。この細胞株は、同系マウスの皮下に移植された場合には顕著な骨形成をもたらすが、同種マウスに移植された場合には、7日目から拒絶反応が起こり10日目には完全にドナー細胞が排除されるものである。この細胞株にIDO cDNAを含む発現プラスミドを導入し、高発現のTransfectantを単離した。この細胞株をターゲットに同系・同種のマウスリンパ球の細胞増殖試験を行ったところ、IDOの発現に相関してリンパ球は増殖を抑制された。In vivoにおいては、同系及び同種マウスへTransfectantの細胞移植を施行し、骨形成を指標に生着率を検討したところ、IDO Transfectantにおいて有意な延長を認めたが、Toleranceの誘導には至らなかった。 しかしながら、細胞移植時に単回のサイクロスポリンもしくはFK506の投与において、IDO Transfectantの骨形成は1ヶ月を超えて退縮を認めず、Toleranceを誘導できた可能性がある。レシピエントの免疫系を現在解析中である。
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