研究分担者 |
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学部, 助手 (20339691)
北村 信夫 京都府立医科大学, 心臓血管外科, 教授 (70075513)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90132927)
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科・マテリアル工学, 教授 (90193341)
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研究概要 |
短期間の圧力・流量補助で心機能の回復が期待できる急性心不全患者に対して超低価格の拍動型補助人工心臓を提供するために,昨年度は真空成形法によるポンプハウジング,ダイアフラム,ベースの大量生産技術の基盤を確立すると同時に品質の安定化も実現した.本年度はこれらの3つのパーツを高周波溶着技術を用いて接合する研究を重点的に行った.まず,真空成形後のハウジンク及びベースの接合辺縁部の肉厚は周方向に不均一であるため,そのまま高周波溶着しても極めて不完全な接着しか実現できないことを確認した.そこで,高周波溶着機を用いて熱プレスを行って事前に均一化することを試みた.その結果,ハウジング,ベース共に肉厚を5mm±2%と均一にすることに成功した.そこで次にプレ成形したこれら2つのパーツとダイアフラムを一度にD-H junction全域にわたって接着する製作条件を検討した.その結果,電流値0.17Aで20min接着を行うことで従来D-H Junction部の不完全接着部の幅が平均8mmあったものを平均0.4mmまで減少させることに成功し,コーティングと組み合わせることで開発の目途がたった. そこで,改善されたD-H Junction部の接着とダイアフラム自体の耐久性を評価するため,拍動ポンプユニットの耐久件評価試験を行った.前負荷15mmHg,後負荷100mmHgの負荷一定回路を用いて,粘度4.0±0.1cPのグリセリン水溶液を作動流体として,平均流量5L/minとなる条件でSV Pump4個を32日間駆動させた.その結果,試験前後の拍出流量・流出圧力波形に変化がないことがわかり,またD-H Junction部の接着も剥離せず耐久性に関しては問題ないことが明らかとなった.以上より,超低価格の短期使用拍動型補助人工心臓を実現するための基盤技術が確立できた.
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