研究課題/領域番号 |
14657347
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40244496)
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研究分担者 |
味村 俊郎 横浜市立大学, 医学部附属病院, 助手 (50336583)
出澤 真理 横浜市立大学, 医学部, 講師 (50272323)
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キーワード | VHL遺伝子 / 神経分化 / 神経再生 / パーキンソン病 |
研究概要 |
腫瘍抑制遺伝子の一種であるvon Hippel-Lindau (VHL)遺伝子を導入することにより神経幹細胞やES細胞をニューロンへ分化するメカニズムの解明に関する研究を行った。これまでに解明されたことは、VHL遺伝子を導入するとニューロンへ分化するがアストロサイトやオリゴデンドロサイトへは分化しないこと、そのニューロンへの分化がVHL遺伝子のアンチセンスによって阻止され、しかもVHL遺伝子のアンチセンスを導入すると神経幹細胞の細胞回転が速くなること、神経幹細胞へVHL遺伝子を導入すると神経幹細胞としての性格を維持する因子であるHESの発現がVHL遺伝子導入後急速に消失すること、VHL遺伝子のアミノ酸配列から活性部位を特定し16アミノ酸からなるペプチドを作成し、これを神経幹細胞内へ導入すると急速にニューロンへの分化がおこることなどである。また、ES細胞に関しては、プラスミドベクターにてVHL遺伝子を導入しG418(ネオマイシン)で選択し、VHL蛋白陽性のクローンを作成したが、それだけではニューロン様の形態変化を惹起しなかったため、その後、神経栄養因子等を添加して分化誘導を検討している。以上の結果は、VHLによる神経分化誘導は細胞回転の制御とプロニューラル因子の制御の両者が関与していることが示唆された。また、移植したVHL遺伝子導入神経幹細胞が、生体内で機能し、パーキンソン病などの神経難病の治療に有用かをパーキンソンモデルラットで検討したところ、未処理の神経幹細胞の脳内への移植ではパーキンソンモデルラットの症状を改善させなかったが、VHL遺伝子導入神経幹細胞の移植ではモデルラットの症状を劇的に改善させただけでなくラット脳内で約3割がドーパミン産生細胞へ分化していることが確認された。また、同様な結果がラット脳梗塞モデルにおいても認められた。こうした結果から、VHL遺伝子導入神経幹細胞の脳内への移植によるパーキンソン病治療が有用であると考えられた。
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