1.5T常電動MRI装置を用いて、頭蓋内圧が亢進した患者の撮像を行った。撮影は位相画像を用い、頭蓋頚髄移行部の大後頭孔を中心とした部位で撮像断面を得た。目的とするものは、脊椎管内の髄液流速、両側頚静脈の静脈血流速、両側椎骨動脈と内頸動脈の流速である。今年度の成果として、適切な撮像断面と撮像条件を得ることを、まず第一目標とした。その結果、髄液と血液の流速を最適な条件で得る、撮像方法を確立した。また撮像断面では、両側内頸動脈と両側椎骨動脈に直行する撮像断面を決定した後、脊椎管内を流れる髄液の流速を測定した。しかし髄液が流れるくも膜下腔のみに感心領域を設定する方法が困難であった。この問題を解決するため、正常被験者を対象に脊髄と脊髄周囲のくも膜下腔のT2強調画像を撮像した。この画像を基に、位相画像上で髄液が流れるくも膜下腔をサブトラクションして髄液の流速を観測する手法を開発した。 以上の方法により、正常被験者と頭蓋内圧が亢進した患者における、くも膜下腔と、両側頚静脈、および両側椎骨動脈と内頸動脈における、髄液と血液の流速を観測する手段を開発終了した。現時点では、頭蓋内圧亢進状態における髄液と血液の流速に特徴的な観測結果は、まだ症例数が少ないため得られていない。しかし、頭蓋内圧が亢進した脳腫瘍患者の、術前術後の流速を観測したところ、その流速の周波数成分の変化が、明確に観測された。 平成15年度は、この結果をまとめるべく症例数を増加させる予定である。
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