研究概要 |
KMIラット(2003年MRIラットを改称)は常染色体劣性遺伝による小人症モデルラットで、四肢・体軸の3-4割の短縮を示すが、他の臓器異常や内分泌異常はない。本研究では、KMIラットの骨軟骨異常の病態解明、およびMRIラットの原因遺伝子の同定を目的として、昨年までに、KMIラットの組織学的、組織形態計測学的解析、KMIラットにおける軟骨関連遺伝子の発現動態の解析、In vitroにおける成長軟骨由来軟骨細胞の増殖、分化に関する解析を行った。 本年度は、原因遺伝子Kmiの同定を行った。すなわち、ラットゲノムライブラリーより、連鎖解析によってmapされたkmi locusを含むPACクローンをスクリーニングし、さらに、単離されたクローンをビオチンでラベルしたものをプローブとしてもちい、野生型ラットの成長軟骨組織より作製したcDNA libraryとハイブリダイズさせてcDNA selectionを行った。 その結果,KMI原因遺伝子座はD14rat6近傍にmappingされた。同領域の候補遺伝子を探索したところ,cGMP-dependent protein kinase 2(cGK2)遺伝子翻訳領域の220塩基の欠失によりstop codonが出現し,kinase domainを完全欠損したcGK2が産生されることが原因であることが明らかになった。 したがって、KMIの成長障害の本態はcGK2の機能障害によって生じるものであり、KMIの表現形と考え合わせると、cGK2は軟骨細胞から分泌される分化阻害因子を柳制することによって、増殖と分化のカップリングを制御している分子であると推測された。
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