研究課題/領域番号 |
14657363
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 信幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40170980)
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研究分担者 |
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
細野 昇 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70238757)
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キーワード | 骨折 / 偽関節 / 骨形成因子 / 遺伝子発現 / 免疫組織化学 / in situ hybridization / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 |
研究概要 |
ヒト骨折および骨折後偽関節症例の検体試料を収集し、組織学的解析と共に免疫組織学的検討を加えた。組織学的検討の結果では、1)軟骨細胞増殖を伴う内軟骨生骨化領域、2)骨芽細胞増殖を伴う骨形成領域、3)線維軟骨領域、4)線維芽細胞増殖を伴う線維組織領域といった所見が認められた。1、2は骨折治癒過程の所見、3、4は癒合不全の所見と考えられた。これらの試料を用いて、組織切片を作成、また、cDNAを抽出し、骨形成因子(BMP)-2、-4RT-PCR、in situ hybridizationおよび免疫組織染色を行った。その結果、骨形成活性が旺盛と考えられる、1、2の試料では、BMP-2、4の遺伝子および蛋白の発現・産生が亢進しており、3、4の試料では、逆に低下していた。また、その局在を解析すると、BMP-2、4は骨芽細胞、未分化間葉系細胞、および幼若な軟骨紳胞に認められ、一方、成熟した骨芽細胞や、線維芽細胞、線維軟骨の細胞には発現を認めなかった。以上の一連の結果から、ヒト骨折の仮骨形成のマーカーとして、BMP-2、4が有用となる可能性が示唆された。 また、偽関節部への遺伝子治療を見据えた場合、BMP-2、4は有用な成長因子となり、細胞移植を見据えた場合の担体細胞として、未分化間葉系細胞、骨芽細胞などが有用であると考えられた。今後は、偽関節の病態をさらに詳細に分子生物学的に解析し、再生医療への基盤となる情報を蓄積する予定である。
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