研究概要 |
本研究課題では、骨芽細胞分化に関する因子を血管誘導能の獲得という観点から解析した。 血管網の構築が骨新生に重要であるという報告は多いが、骨芽細胞分化段階での血管誘導能獲得に対する詳細な解析はなされていない。 本研究では、まず、間葉系幹細胞から骨芽細胞に分化する際、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の分泌が亢進することを、RT-PCR,Northern Blot,ELISAなどの手法を用いて証明した。その際、IsoformであるVEGF121の発現が、特に亢進していることを示した。更に、血管内皮細胞の増殖に最も効果を発揮しているであろうことを、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いたIn vitro proliferation assayにより示した。 VEGFの骨芽細胞への効果については、意見が分かれるところであるが、分化誘導細胞およびHUVECを用いたIn vitroの解析結果から、主に血管新生を誘導することにより、骨芽細胞自身の増殖・分化に有利な環境を構築しているものと考えられた。 また、骨芽細胞分化に必須とされるDexamethasoneの影響は不可逆的であり、一度、骨芽細胞系譜へと分化した細胞は、脱分化能を失うものと考えられた。 現在、In vivoでの骨芽細胞分化に対するVEGFの効果を解析するため、Nude mouseの皮下にヒト間葉系幹細胞とともに人工Scaffoldを埋没し、骨形成能および血管新生能の評価を行っている。
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