トリリン酸カルシウム(TCP)上で軟骨細胞を培養し、軟骨再生を目的として家兎骨軟骨欠損モデルへの自家軟骨細胞移植を行った。 方法としては、日本白色家兎より採取した軟骨細胞を単層培養し、必要な細胞数が得られるまで継代した。得られた細胞は細胞懸濁液にし、アガロースでコートしたマルチプレートに入れ培養し、24時間後には細胞凝集塊を得た。この凝集塊を、αおよびβTCPのディスクを底部に敷いたチャンバー内に入れ培養した。24時間後には凝集塊同士はチャンバーの形状に沿って融合しプラグ状になった。ウサギ大腿膝蓋骨溝に骨軟骨欠損を作成し、チャンバー内で2日間培養した自家細胞由来プラグの移植を行い、1週間ギプス固定をおこなった。術後3週、6週、12週に屠殺し、移植部の組織学的評価をサフラニン0染色、II型コラーゲン免疫染色を用いて行い、マイクロCT(以下MCT)を用いて軟骨下骨レベルでの骨化の状態を評価した。 移植後3週では、移植部は肉眼的に軟骨様組織と赤褐色の肉芽組織が混在していた。MCTでは、移植部の軟骨下骨のレベルにおいて、周囲の健常部との連続性をもった骨化が移植部辺縁から中心へ向かうようにみられた。サフラニン0染色で、移植部関節面および軟骨下骨レベルで移植部辺縁の染色が見られた。さらに、軟骨下骨レベルでの肥大軟骨細胞の出現と、血管の進入をみとめた。II型コラーゲンも、サフラニン0と同部位に発現を認めた。6週では、肉眼的に移植部の関節面は全面を軟骨様組織で覆われ、移植細胞レベル全層に渡って周囲との連続性も良好であった。 我々が用いた方法では、十分な量の細胞が採取できれば、短期間で移植可能なプラグが作成可能であった。また、移植部に骨膜などの被覆を行わず軟骨様プラグの移植を行ったが、移植組織の脱落も認められず、手技的にも容易に軟骨移植が行えることは本法の利点であると考えられた。
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