研究課題/領域番号 |
14657371
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
森本 典夫 鹿児島大学, 医学部, 教授 (90107904)
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研究分担者 |
松永 俊二 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (90229500)
米 和徳 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (40182844)
坂江 清弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70041358)
榊間 春利 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10325780)
鈴木 秀作 鹿児島大学, 生命科学資源開発研究センター, 教授 (70041663)
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キーワード | 老化促進マウス / ICRマウス / 筋組織の加齢変化 / 運動負荷 |
研究概要 |
加齢に伴う筋力低下の原因についてはまだ不明な点が多い。筋力低下の最大要因は筋量の減少と考えられるが、加齢による筋量の減少は筋線維の萎縮と減少、速筋線維の選択的萎縮によるとされており、この点を解明するため老化促進マウス(SAMP1)、対照群としてICRマウスの筋組織の組織化学的な分析検討を行った。 本年度の研究実績 【実験I】週令4週、12週、24週、40週、50週、56週の雄のSAMP1(各3匹)と30週、50週、56週令の雄のICRマウス(各3匹)のヒラメ筋、腓腹筋を採取、標本として以下のことを検討した。 1.SAMP1、ICRマウスの体重、ヒラメ筋と腓腹筋の採取材料の筋湿重量、筋線維タイプ組成、筋線維の断面積、筋線維数、筋線維の形態学的加齢変化について観察した。 2.分析の結果、a)体重については、SAMP1は24週では増加、40週以降減少し、筋湿重量は40週までは増加、56週で有意に減少していた。b)筋線維タイプ組成の変化では、56週でタイプII線維がIに比較し有意に減少していた。c)総線維数については24週までは増加、50週から減少する傾向にあった。d)筋線維の形態学的変化は56週を境に中心核線維などの変化が観察された。以上からSAMP1については50週令以降から筋の加齢減少が起こることが示唆されたが、ICRマウスについては56週までは加齢による変化は観察されず、老化の早いSAM系の特性が窺えた。より高齢のマウス材料を検討することや筋量の減少と脊髄神経細胞のアポトーシスの関連については、末梢神経の関わりを含め次年度の研究を予定している。 【実験II】トレッドミル走行による運動負荷が老化促進マウスのヒラメ筋に及ぼす影響について検討した。週令50週のSAMP1(3匹)を用い6週間のトレッドミル走行を行わせ、6週後にヒラメ筋を採取、上記と同様、筋湿重量、筋線維タイプ組成、筋線維タイプ別横断面積の変化や異常な筋線維の出現数などについて観察した。対照群として50週令のICRマウス(3匹)を使用した。分析結果では、ICRマウスでは筋線維の肥大が認められ運動負荷に適応があったのに対し、SAMP1では筋肥大は見られず、異常な筋線維が増加し、運動負荷に対して適応が不十分であり、筋組織の障害を生じた可能性もある。今後、老化骨格筋に対する運動強度や頻度などの設定を検討する必要があることが示唆された。
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