研究概要 |
坐骨神経切断後の神経節細胞の細胞死はその代謝,栄養を行う衛星細胞間のギャップジャンクショシの減少による合胞体としての機能低下、及び衛星細胞の神経節細胞への栄養供給の停止が原因の一部と考えられている。我々は坐骨神経切断後の神経節細胞の細胞死を衛星細胞間のギャップジャンクションを保持することにより、抑制する方法を開発すべく衛星細胞間のギャップジャンクションの維持に必要な能力を遺伝子導入したモデル動物の作成、自由な運動が可能となる治療法としての毛様体神経栄養因子(CNTF)溶液の浸透圧ポンプを用いた持続的静脈内投与に注目して研究し、その一部については報告をした(佐久間英輔他4名,2003)。また一方、我々は、衛星細胞と同様にギャップジャンクションで結合し機能結合体としての機能を発現していると考えられている下垂体濾胞星細胞についても検討を加えている(Tamaki & Sakuma et al.,2003)。最近では、去勢した雄ラットにhuman recombinantレプチン又はrecombinant rat CNTFを腹腔内投与すると濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成が促進される事、また、去勢した雄ラットではテストステロン投与により、同じく去勢した雌ラットにはプロゲステロン投与によって濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成が促進される事(Sakuma et al.,2003)を見出し、各々、統計的検討を加えて文献発表してきている。これら下垂体濾胞星細胞についても脊髄後根神経節の衛星細胞間のギャップジャンクションの維持に用いたのと同様の浸透圧ポンプを用いた持続的静脈内投与によるホルモン&サイトカイン治療を下垂体濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成促進とそれに続く下垂体内分泌系の異常の治療に応用するのが最終目標であり現在はその具体的実験の段階である。
|