研究課題/領域番号 |
14657375
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
福田 健太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10306748)
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研究分担者 |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80160688)
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キーワード | 骨 / メカニカルストレス / ラット / カルシウムイメージング / 骨芽細胞 / 光計測法 / シェアストレス / fluo-3 / AM |
研究概要 |
本研究においては、運動・圧負荷による骨組織のメカニカルストレス感受機構の解明を究極の目標とし、骨組織内に存在する生きた細胞を対象とした従来にない実験系を確立するため、メカニカルストレスに対する骨内細胞応答へのカルシウムイメージングの応用を試みた。平成14年度には基本的な方法論の検討を行ったが、その検討結果に基づいて平成15年度には標本作成法・カルシウム蛍光指示薬の選択・標本染色法・実験プロトコールを改良し、安定した成績を得ることができるようになった。具体的な方法としては、約7日齢の若齢ラットから麻酔下で大腿骨を摘出、縦切し、骨内丙面にリンゲル液を噴射して骨髄を除去した。カルシウム蛍光指示薬・fluo-3/AMで染色後、共焦点正立蛍光顕微鏡下でのカルシウムイメージングにより大腿骨内側表面の細胞集簇を観察しえた。ホルマリンやアルコールで固定処理した標本では、カルシウムイメージは得られず、またカルシウムイオノフォア添加により細胞内カルシウムの上昇を認めたことから、これらは骨表面に存在する生きた細胞であることを証明した。次に、骨内側の表面を灌流するリンゲル液速度、すなわち骨へのシェアストレスを変化させ、それに対する骨組織内細胞の応答を動画像として解析した。標本にシェアストレスを加えると、一過性に蛍光輝度の上昇、即ち細胞内カルシウムの上昇を示す細胞を見出した。標本に加えるシェアストレスを変化させて、シェアストレスの大きさとカルシウムイメージングにおける細胞の蛍光輝度変化とに正の相関性があることを見出した。さらに電顕標本を作製しリンゲル液噴射により骨髄除去後にも、骨梁表面に存在する骨芽細胞を形態学的にも確認した。これは、骨組織内の生きた細胞のメカニカルストレスに対する応答を検出した初めての研究である。現在、本研究成果を報告するため、英文原著論文を準備中である。
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