研究課題/領域番号 |
14657378
|
研究機関 | 大阪府立成人病センター研究所 |
研究代表者 |
伊藤 和幸 大阪府立成人病センター研究所, 生物学部門, 部長 (20301806)
|
研究分担者 |
吉川 秀樹 大阪大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60191558)
|
キーワード | SSX / invasion / breast cancer / NASBA / tight junction / claudin / マイクロアレイ |
研究概要 |
滑膜肉種に特異的な融合遺伝子SYT-SSXのfusion partnerとして単離されたSSX遺伝子は、生理的には精巣特異的に、又種々の臨床腫瘍例で発現が報告されており、悪性黒色腫で発現しているMAGEなどと同様にcancer/testis antigenの一員とされている。我々は、骨軟部腫瘍においてSSXの発現率が著しく高率(<90%)であることを既に報告、今回KAINOS社と共同でNASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法を用いたRNAの定量的発現解析系を樹立、悪性腫瘍群と良性腫瘍群の間でSSX遺伝子の発現量に有意差を認めた(投稿中)。そこで、SSXのがんの進展における生物学的機能を明らかにするために、ヒト骨軟部腫瘍からSSX1並びにSSX2遺伝子のcDNA全長をクローニングし、低転移性ヒト乳癌細胞株MCF-7に導入、stable transfectantsを作製した。SSX導入株は、SSXは核に局在し、親株と比較して増殖に差を認めず、scratch wound assayにおける運動能や、Matrigel chamberにおける浸潤能の増加(親株の3〜5倍)を認めた。これらのtransfectantsをヌードマウスに移植して造腫瘍性を検討中である。更に形態的に細胞間接着が減弱し、tight junctionに局在するclaudin-7の発現量の減少と細胞間接着の著しい減弱を認めた。一方以前より我々が、がん細胞運動の制御に関わることを報告しているRho-ROCK系には大きな影響がなかった。現在、国立がんセンターと共同でマイクロアレイを用いてSSXの下流で働く遺伝子の検索を行っている。
|