MIFの敗血症病態への修飾作用 マクロファージ遊走阻止因子(MIF)の敗血症病態に及ぼす影響を検討することを目的とした。MIFノックアウトマウスとBulb-Cマウスを用いて、盲腸結紮・穿孔モデルを作成し、敗血症性ショックを惹起させた。MIF-KOマウスはBulb-C比較して生存が延長することが示された。敗血症病態を惹起するToll-like受容体(TLR)、とりわけ、グラム陰性桿菌のリポポリサッカライド(LPS)を認識し、NF-kBやMAPキナーゼを活性化させるTLR4をノーザンブロット解析した結果、TLR4 mRNAはコントロールマウスでは、肺と心房筋に多く認められ、MIF-KOマウスでは、このTLR4 mRNAが肺や心房筋で減じられていることが判明した。核内p65のイムノブロッド解析で敗血症病態の肺や心房筋におけるNF-kB活性を定量比較した結果、MIF-KOマウスが対象マウスに比較して有意にNF-kB活性が高かった。現在、グラム陽性菌のペプチドグリカンを認識しNF-kB活性を高めるTLR2の発現をMIF-KOがどのように修飾しているか検討している。 以上の研究成果より、MIFはTLR4の発現調節をしている可能性があり、MIFを制御することにより、各臓器のTLR4発現を制御し、NF-kB活性を制御できる可能性が展開された。
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