研究概要 |
新生ラット摘出脳幹脊髄標本を用いて,非脱分極性筋弛緩薬(ベクロニウムおよびクラーレ,各40μM)の延髄腹側の各種呼吸ニューロンつまり吸息性ニューロン(I-n),呼息性ニューロン(E-n),前吸息性ニューロン(preI-n),化学受容体および第4頚神経(C4)への影響を検討した。 ベクロニウムおよびクラーレは有意に呼吸数(C4)を減少させた(2002年度日米麻酔会議で発表)。また,両筋弛緩薬ともI-n(各n=10),E-n(各n=3),preI-n(各n=3)の膜電位には影響しないが,Intraburst firing frequency, EPSP,活動電位を有意に減少させた。また,I-nのNeuron burst frequencyは、C4と同期して有意に減少した。しかし,preI-nのNeuron burst frequencyはC4が減少するにもかかわらず,減少しなかった。 各種呼吸ニューロンへの研究は現在進行中であるが,上記の傾向より非脱分極性筋弛緩薬の中枢性呼吸調節機構への影響は,各種ニューロンへの直接作用ではなくネットワーク全体に対するものと推察される(2003年度日本麻酔学会総会,アメリカ麻酔学会で発表予定)。 非脱分極性筋弛緩薬の中枢性呼吸調節機構への作用により,二酸化炭素換気応答低下のメカニズム解析のため延髄腹側表面に存在する化学受容体への影響は,平成15年度の検討事項である。
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