• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

胎盤由来物質による母体エネルギー代謝調節および胎児への糖供給調節機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 14657419
研究機関京都大学

研究代表者

佐川 典正  京都大学, 医学研究科, 助教授 (00162321)

研究分担者 刈谷 方俊  京都大学, 医学研究科, 講師 (90243013)
伊東 宏晃  京都大学, 医学研究科, 助手 (70263085)
由良 茂夫  京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
小川 佳宏  東京医科歯科大学, 医学研究科, 教授 (70291424)
キーワード妊娠 / 胎盤 / 胎児発育遅延 / インスリン抵抗性 / レプチン / レジスチン / 糖代謝 / 胎児プログラミング
研究概要

本年度は、胎盤および脂肪細胞から産生される糖・エネルギー代謝調節因子のうちレプチンとレジスチンについて、胎児発育との関係を検討した。またマウスIUGRモデルを用い、これらの因子と胎児発育について検討した。
1.ヒト正常妊娠、病的妊娠におけるレプチン、レジスチン動態
(1)臍帯動脈血、静脈血中のレプチン濃度は母体血中値の約1/3と低値であった。(2)妊娠中毒症を伴うIUGRでは発育正常の対照群と比較して母体血中レプチン濃度は3倍高値を示し、胎盤におけるレプチン遺伝子発現の亢進を認めた。妊娠中毒症を伴わないIUGR群においても1.5倍高値であった。しかし、IUGR児の臍帯血中のレプチン濃度は母体妊娠中毒症の有無に関らず低値を示した。(3)レジスチン遺伝子発現は主に絨毛細胞に認められ、妊娠末期妊婦の血中レジスチン濃度は非妊娠女性と比較して約4倍高値であった。
2.妊娠マウスの摂食制限によるIUGRモデルの作成と新生仔におけるレプチン、レジスチン発現
(1)母獣摂食制限により胎仔の発育遅延を認め(体重は対照群の70.7%)、胎盤重量も87.7%と低値であった。マウス胎盤にはレプチン、レジスチン共に遺伝子発現を認めなかった。IUGR胎仔では皮下脂肪組織におけるレプチン、レジスチン遺伝子発現がそれぞれ対照群の48.7%、48.4%に低下していた。(2)IUGRマウスの体重は出生後にcatch upし、生後3週齢では対照群と体重差を認めなかった。(3)IUGRマウスの8日齢では皮下脂肪におけるレプチン遺伝子発現が263%と亢進し、高レプチン血症を示したが、レジスチン遺伝子発現は対照群と同程度であった。(4)生後5,17週齢ではレプチン、レジスチンの遺伝子発現に有意差を認めなかったが、レプチン感受性の低下を認めた。
以上より、胎児発育調節に脂肪細胞および胎盤由来のレプチンが重要な役割を果たしていることが示された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] K Kakui, H Itoh, N Sagawa 他6名: "Augmented eNOS protein expression in human pregnant myometrium : Possible involvement of eNOS promoter activation by estrogen via both ERαand ERβ."Mol Hum Reprod. 10. 115-122 (2004)

  • [文献書誌] D Korita, H Itoh, N Sagawa他6名: "Cyclic mechanical stretch and interleukin-1α synergistically up-regulate prostacyclin secretion in cultured human uterine myometrial cells"Gynecol Endocrinol. in press. (2004)

  • [文献書誌] MA Nuamah, N Sagawa 他6名: "Significant increase in maternal plasma leptin concentration in induced delivery : A possible contribution of pro-inflammatory cytokines to placental leptin secretion"Endocr J. in press. (2004)

  • [文献書誌] MA Nuamah, N Sagawa 他6名: "Free-to-total leptin ratio in maternal plasma is constant throughout human pregnancy"Endocr J. 50. 421-428 (2003)

  • [文献書誌] S Yura, N Sagawa, 他6名: "Resistin is expressed in the human placenta"J Clin Endocrinol Metab. 88. 1394-1397 (2003)

  • [文献書誌] N Sagawa, S Yura, 他8名: "Possible role of placental leptin in pregnancy -A review-"Endocrine. 19. 65-71 (2003)

  • [文献書誌] 佐川 典正: "Annual Review 内分泌,代謝(金澤康徳、武谷雄二、関原久彦、山田信博 編集)"中外医学社. 304(80-92) (2004)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi