研究概要 |
(1)テロメアベクターの試作 テロメアー繰り返し配列を1Kbもったベクターにこの領域内に存在するD1S437、D1S459それぞれのSTSマーカーをプライマーとしてPCRで増幅したDNA断片(5Kb)を組み込んだ。homologous recombinationの頻度の高いchikenDT40細胞にヒト1番染色体を微小核融合で導入したうえでこのベクターをターゲッティングし細胞の増殖を行うことにより、特定のSTSマーカーより遠位側と近位側の欠失をもった1番染色体断片を作製し得るかどうか検討した。その結果は期待どうりの染色体欠失を惹起できたものは10%以下であった。近年テロメアの機能に関連するいくつかの蛋白コンポーネントが明らかとなりつつあり、これらとの関連でベクターを改良したいと考える。また紡錘糸形成と染色体分裂に関するテロメアの動態なども検討した上でさらに発展させることも肝要と考えられた。 (2)光架橋プライマーによる増幅 D1S437、D1S459等種々のSTSマーカーをsense,antisenseともpsoraren付着型で合成すした。ヒト1番染色体をもつマウスA9細胞よりDNAを抽出し、変性した後これらのプライマーをアニールさせる。その後長波長紫外線で処理しプライマーをDNAに架橋し強固に固着させる。これをDNA polymeraseで処理しプライマー間を伸張させた。この際NTPとしてdigoxigenin-dUTPを取り込ませる。その後変性を行い、一本差分解酵素(exonucleaseIII,Bal31)を用いて変性DNAを分解した。両端に架橋プライマーをもつ伸張DNAは分解されないと考えられるので、この後digoxigenin抗体でつり上げ精製した。この系はおおむね作動することが分かったが、我々の条件ではDNA polymeraseであまり長い断片は合成されず、またdigoxigenin抗体でのつりあげもあまり効率が良くなくこの回収方法とともに両者の改良が必要と考えられた。
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