研究概要 |
片側障害モデル:ネンブタール腹腔内注射により全身麻酔し耳後部に局所麻酔下に切開し、手術用顕微鏡とドリルを用い、中耳骨包を開放し正円窓上に浸透圧ポンプを留置しゲンタマイシン溶液(400mg/ml生理食塩水に溶かす)を持続的に環流する。ABRが障害されるまで続けその時点で終了とした。 両側障害モデル:腹腔内にゲンタマイシン400mg/kgを生理食塩水(40mg/ml)にとかし投与する。両側障害モデルでは聴力障害出現前に死亡する個体が多くこのモデルの作成は断念した。片側障害モデルで処置後3日後、5日後、10日後、14日後にABRにて聴覚障害の出現が確認された。 全身潅流固定(固定液10%PBSホルマリンもしくは4%PFA)を行い、0.12MのEDTA(pH7.4)にて脱灰(おそらく数日)終了後に、脱水からパラフィンに包埋し,6uに薄切し連続切片を作成した。連続切片を16〜20枚おきにHE染色を施行し観察した。片側障害モデル耳での内耳の有毛細胞、蝸牛外側壁線維細胞の障害を認めた。両側障害モデルでは明らかな変化を認めなかった。 ABC法にてパラフィン切片で設定した内耳細胞のマーカーを用い免疫染色を行った。片耳処置モデルを使用し処置した耳での染色結果を正常耳と比較し確認した。経時間的な変化を検討する。内耳の各構成細胞の免疫染色性の低下が確認された。片側障害モデルを使用し処置後の時間別に処置後3日後、5日後、10日後、14日後にサーフェスプレパレーション法にて蝸牛、前庭を取り出し、DNAチップを用いm-RNAレベルでの変化を検討した。現時点まででm-RNAの絶対量の不足からか有意な変化は認められていない。神経増殖因子、転写調節因子などを添加して同様の実験を行ったが現時点で添加による障害の促進、抑制を示唆する所見は得られていない。
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