昨年までと同様の方法(浸透圧ポンプの埋め込みによる)でマウスの片耳障害モデルを作成し、1シリーズ7匹で、障害側、コントロール側より内耳を摘出しmRNAを抽出を試みたが、十分な結果が得られなかった。 予備実験ですでに確認されている、より容易に全身投与でも内耳が障害されるモルモットを用い蝸牛を用いることにし、より確実でかつ均一に障害が惹起されるように培養系を用いることを考慮した。前進麻酔下にモルモットの内耳を摘出し、コルチ器と蝸牛外側壁に実体顕微鏡下でサーフェスプレパレーションにより分離した。これにトリプシンを用い、拡販、インキュベートなどの処置を加え細胞の分離を行い、MEMなどの培養液に成長因子などの添加剤をいくつかのパターンで加え培養を試みた。 現在まで残念ながらコルチ器の方では確実な培養細胞は得られていない。しかし外側壁の方からは、線維細胞と思われる突起をもった細長い細胞が経代培養されている。おそらく蝸牛ラセン靭帯の線維細胞と思われる細胞の分離培養は可能となった。 現在これらの細胞に対し培養細胞に対す免疫染色の手法を用い細胞の同定(線維細胞であるか?またどのタイプであるか?)を行っているところである。現在までの結果とあわせてtypeIIの線維細胞である可能性を考慮し実験を続けている。さらにこの細胞にゲンタマイシン、インターロイキン、FGFなどの添加を行い細胞の形質の転換を免疫染色で確認する作業を行っている。また経代培養後に均一化したと思われる細胞群からRNAの抽出を試みているが、細胞数の不足、細菌、真菌の混入からか今のところ安定した結果が得られていない。
|