研究概要 |
本年度は研究計画に従いまずモルモットを用い、蝸牛、前庭器を摘出し、一部はそのまま器官培養、一部は単離有毛細胞としin vitroでの実験系を確立した。細胞の静止を迅速に判定するシステムとしては蛍光プローブ(LIVE/DEAD Viability/Cytotoxicity Kit, Molecular Probes)を応用した。その結果、簡便、迅速に細胞の生死を判定することが可能となった。さらにアポトーシスの判定に同様の蛍光プローブ(Vybrant Apoptosis Assay Kit)を用いることで細胞の生死に加えてアポトーシスの判定も可能になることが証明された。また、細胞機能による評価のためには細胞の一酸化窒素、活性酸素種の発生に注日しそれぞれの産生を一酸化窒素はDAF-2DA、活性酸素種はDHTM-Rosを使用して検討した結果、生体内での一酸化窒素、活性酸素種の産生を良好に検出することができた。さらに、これらの2種類の蛍光プローブを同時に使用することにより一酸化窒素と活性酸素種の同時検出が可能となることも証明された。これらの結果を利用して細胞障害条件の検討を行った結果、アミノ配糖体のゲンタマイシンによる障害が内耳感覚細胞障害モデルとして一般的に応用可能であることが示され、フリーラジカルの制御、ニューロトロフィンの添加、アポトーシスの制御などにより細胞障害が予防可能であることを明らかにしたとともに今回開発したin vitroの実験系が内耳障害の研究に広く応用できることが示された。 これらの成果は第23回日本炎症再生医学会、第12回日本耳科学会、第61回日本めまい平衡医学会で発表されると共に6編の論文にまとめられた。
|