研究課題
本邦における2大失明疾患のひとつである緑内障では、網膜神経節細胞のアポトーシスが認められる。われわれはこの網膜神経節細胞死の新たな評価系の確立のため、網膜神経節細胞蛍光発色マウスを作製・評価を行うこととした。網膜神経節細胞特異的マーカーであるthy1.2遺伝子を含む既存のプラスミドベクターからthy1.2のcording regionを制限酵素で切り出し、thy1.2のプロモーター領域の下流にPCRで増幅したEGFP(蛍光発色蛋白)cording regionを導入し、新たなプラスミドベクターを作製した。培養細胞にて本ベクターの蛍光発色を確認した。このベクターをマウス卵細胞にmicroinjectionし、本トランスジェニックマウスを作製した。42匹の産仔の尻尾よりゲノム抽出を行いPCRにて、導入遺伝子発現の確認を行った。7匹のファンダーマウスを得ることができ、そのうち3系統で目的の網膜神経節細胞の蛍光発色が組織学的に確認できた。2系統でほぼ全ての網膜神経節細胞の蛍光発色を、1系統で一部の蛍光発色を認めた。本トランスジェニックマウスの眼底をscanning lasar opthalmoscope(SLO)を用い生体下で蛍光撮影することに成功した。今後、本トランスジェニックマウスを用い、虚血再灌流モデル等の障害モデルを作製し、網膜神経節細胞死の変化を蛍光輝度により生体下で観察する予定である。
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