研究概要 |
1.眼科用至適プローブの開発・調整 触覚バイオセンサーの先端部,プローブは対象臓器によって大きさ・周波数感度・モーターの駆動機構などを調整する必要がある.実際に豚眼を対象としたパイロットスタディにより強角膜測定に至適な周波数特性・大きさのプローブデザインを検討した結果、直径3.0mm平坦型プローブが最適であった. 2.摘出豚眼による測定条件の検討 硝子体中に2本の注射針を刺入し,一方を生食ボトル、他方を圧力感知計に接続、ボトルを上下させて眼内圧を変化させ,圧力感知計で実際の眼内圧をモニターした.角膜上に垂直に固定した触覚センサーのプローブを角膜に接触してから0.5mm押し込み,触覚・圧力・変位の個別時系列グラフを書くとともに,圧力・変位,触覚・変位,触覚・圧力のそれぞれのヒステレーシスカーブを作成し,プローブの移動に伴う圧力,触覚の変化を定量化した. (1)ヒステレーシスカーブの再現性の検討 豚眼の眼内圧を20mmHgに固定、短時間連続10回測定(全測定時間5分以内)および長時間連続測定(5分間隔7回)を施行し,本機器の再現性を検討した.その結果,短時間測定でのヒステレーシスカーブは10回ともほぼ一致しており,再現性が証明された.また,長時間連続測定では最初の10分間のヒステレーシスカーブは一致していたが,10分を越えるとグラフ波形に変化が生じた.時間経過に伴う角膜の乾燥が結果に影響を及ぼしたものと考えられた. (2)眼内圧変化に対するヒステレーシスカーブ変化の解析 眼内圧を10-60mnHgの範囲で6段階に調節、内圧を安定させるために約1分間放置してから以下の測定を行った。眼内圧のモニターとともに,バイオセンサーシステムを用いて角膜に振動子を接触させ,周波数変化からヒステレーシスカーブを作成した.その結果,全ての眼球において眼内圧を上昇させるにしたがって,ヒステレーシスカーブは硬度上昇波形を描いた.以上より本試作機は眼内圧変化を確実に捉えられることが明らかとなった.
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