研究課題/領域番号 |
14657452
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
梅田 泉 帝京大学, 薬学部, 講師 (40160791)
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研究分担者 |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (90050517)
佐々木 徹 東京都老人総合研究所, 研究員 (30158927)
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キーワード | 眼組織 / バイオイメージング / イメージング / 水晶体 / 酸化ストレス / 活性酸素 / グルタチオン / DCFH-DA |
研究概要 |
水晶体は、ただ一層の上皮細胞と、細長く密にかつ規則正しく配列された線維細胞の2種類のみの細胞から構成される、無血管で透明な組織である。この透明性の維持には酸化ストレス防御機構が極めて重要な役割を果たしていると考えられており、透明性が損なわれる疾病、すなわち白内障の発症と酸化ストレスとの関連には多くの報告がある。本研究では、水晶体で発生する種々の酸化ストレスおよび抗酸化物質(還元型グルタチオンGSHなど)のイメージングを可能にする系の構築を試みた。比較対照としてグルココルチコイド誘発鶏胚白内障モデルを用いた。 1 鶏胚水晶体中のGSHの局在を未固定凍結切片、マーキュリオレンジ染色で観察した結果、白内障発症により、GSHは大きく低下し、しかもその低下は白濁部分のみでなく、水晶体全体に及んでいることが明らかとなった。現在、器官培養系での観察を試みている。 2 dichlorofluorescin diacetate(DCFH-DA)は細胞膜を透過し、細胞内で活性酸素である過酸化水素や過酸化物の反応して蛍光を発する。従って、白内障発症時、その蛍光の増加が予想されるが、現時点では未固定凍結切片では、正常水晶体と白内障水晶体に大きな差は認めらなかった。この系は細胞が生きている状態のほうが望ましいと考えられるため、器官培養、共焦点レーザー顕微鏡での観察の系を構築中である。 3 活性酸素のひとつO_2^-の可視化のため、ルシジェリンを用いた化学発光観察を行った。グルココルチコイド投与鶏胚および卵黄に強い発光が認められ、O_2^-が発生している可能性が強く示唆された。現在水晶体での局在性を観察できる系を検討している。 4 白内障発症時の線維細胞を観察した結果、細胞間の空隙発生および細胞接着と細胞骨格タンパクの低下を見いだした。これらの結果を、酸化ストレスがどのようにして水晶体白濁を誘発するのかの検討の端緒としたい。
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