研究概要 |
これまでの研究結果では我々の樹立した細胞株2種類はいずれもFibroblast growth factor(FGF)によく反応して増殖することが明らかになった。他の増殖因子では、Epidermal growth factor, Insulin-like growth facotrI. II. Hepatocyte growth factor, Transforming growth factorなどは増殖を誘導しなかった。よってこの腫瘍株はFGF依存性の増殖細胞であると結論した。 また、この細胞株は電子顕微鏡による観察では、微細形態上は細胞内器官の未発達な点が未熟な間葉系細胞に類似した形態をとっており、間葉系幹細胞と類似していることが示された。もともと、ウイルムス腫瘍は繊維芽細胞、横紋筋、脂肪細胞などの間葉形成分が多く含まれるという組織学的な特徴を有しており、本細胞株も、脂肪細胞、繊維芽細胞、軟骨細胞、骨細胞、神経細胞などに分化する能力があることが予想される。これまでのところ脂肪細胞に分化させる試みをおこなって一部の細胞が脂肪細胞に分化が誘導できるとのpreliminaryの結果を得ている。 今後は様々な細胞に分化誘導をかけてみて、細胞株のもっている多分化能についての詳細を明らかにしていく予定である。
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