研究概要 |
平成14年度には、我々の樹立した細胞株2種類はいずれもFibroblast grown factor(FGF)によく反応して増殖することから、本細胞株はFGF依存性の増殖細胞であると結論した。その他の細胞増殖因子はこれまでにHGF, Insulin-like growth factorI, II, EGF、activinを検討したがいずれも増殖を誘導できなかった。 また、この細胞株は電子顕微鏡による観察では、微細形態上は細胞内器官の未発達な点が未熟な間葉系細胞に類似した形態をとっており、形態上は間葉系幹細胞と類似していることが示された。 平成15年度はこの細胞が幹細胞としての性質を有しているかの検討を行ったが、脂肪細胞分化誘導に関して細胞株の一部が大きな顆粒を有した脂肪細胞類似の細胞形態に分化したが、コントロールとして用いた間葉系幹細胞の多くが脂肪細胞に分化したのに比してその分化誘導能は低く、間葉系幹細胞とは異なる分化能を有した細胞であることが判明した。また、この細胞株のin vivoでの増殖・分化誘導能を確かめるためにヌードマウスやSCIDマウスに移植する実験をおこなったが細胞が生着しなかったために確認できなかった。 本年度の研究成果では本細胞株が後腎芽細胞株の性質を有しているが幹細胞としての多分化能を有していることは明らかにできなかった。Wilms腫瘍の多彩な組織構成を形成する名分化能に関しての検討は今後も進めていく予定である。
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