巨大色素性母斑(獣皮用母斑)の発生メカニズムの研究はほとんど行われておらず、色素細胞と母斑細胞を区別するマーカーが見つかっていない。本研究により二者を区別するマーカーを見つけられれば、巨大色素性母斑の根本的な治療につながるとともに、色素細胞の分化メカニズムに迫ることができる可能性を秘めている。しかしこれまでに色素性母斑細胞と、色素細胞を明確に区別しうるマーカーは発見されていない。このため色素性母斑細胞のみを標的とする治療法は発見されていない。 本研究では、正常皮膚に存在する色素細胞と巨大色素性母斑母斑細胞をレーザーマイクロマニピュレーションシステムを用いて単一の細胞だけを取り出し、mRNAを抽出する予定であったが、充分な細胞量を確保するために、同一患者から採取した正常表皮由来および真皮由来色素細胞を分別培養し、ここからmRNAを採取した。平成14年度は、これらの細胞がそれぞれ正常表皮色素細胞と母斑細胞を反映しているか検討を行った。平成15年度は、Gene Chip HuGeneFL arrayおよび解析システムを用いて同一患者から採取した表皮由来色素細胞と母斑真皮由来母斑細胞の発現蛋白(おもに膜表面マーカー)の違いを調べる。その後免疫染色またはin situhybridizationを用いて、実際に見つけた差異が組織切片上で他の試料提供者の組織で色素細胞、母斑細胞で同様に違いがあるかどうか確認する予定である。
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