研究概要 |
【研究の経過】 1)手術材料の形態学的解析:ホルマリン固定手術材料をパラフィン標本作製し、臨床病理学的解析を行った。必要に応じ、特殊染色や免疫染色を行い、分子生物学的解析結果との対比のためのデータを揃えた。また、解析に用いた症例は、臨床経過・検査データ・手術所見・経過に関するデータを保存した。 2)Laser microdissection(LM)標本作製:LMに用いるための処理を施したスライドグラスを使用し、8μmで凍結切片の薄切を行った。ステップセクションで一枚おきにHE染色標本を作製しておく。薄切標本は-40℃で保存した。 3)Laser microdissection(LM)とReal time PCR法による解析:Microarrayの結果がLaser microdissectionによるサンプリングにより影響を受ける可能性があるため、適正なサンプリング数・部位の検討を行った。また、一昨年度、発表した論文(日本唾液腺学会誌43巻p57-61,2002)に基づいてそのいくつかの遺伝子についてLMとReal time PCR法を用いて腺様嚢胞癌の各々組織構築における発現量について解析を行った。 【研究結果】 平成14,15年度に行ったマイクロダイセクションとマイクロアレイを用いた腺様嚢胞癌における遺伝子発現解析により、腺様嚢胞癌の様々な組織構築の違いを生じる原因としていくつかの遺伝子の関与が明らかとなった。これにより見いだされた遺伝子のいくつかについてLMとRea-time PCR法により追加検証を行ったところ、それぞれの腺様嚢胞癌の組織構築における遺伝子発現量の差異に再現性が認められた。さらに免疫組織化学的解析結果から、それらの分子の腺様嚢胞癌における形態形成や生物学的性格の決定に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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