研究課題/領域番号 |
14657490
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
黒崎 紀正 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40014154)
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研究分担者 |
礪波 健一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (20334427)
荒木 孝二 東京医科歯科大学, 医歯学教育システム研究センター, 教授 (70167998)
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キーワード | レーザー / エキシマレーザー / 象牙質 / 温度変化 / 温度上昇 / SEM観察 |
研究概要 |
現在使用されている歯科用レーザーは、いずれも光エネルギーが被照射組織にて熱に変換される熱プロセスによるものであるが、熱による組織為害性も報告されている。一方、エキシマレーザーは熱を発生しない光プロセスによるものであり、生体組織応用に有利であるが歯科には導入されていない。本研究の目的はエキシマレーザーの歯科応用の可能性を検討することであるが、初年度の目標として硬組織照射時の組織温度の上昇特性と表面形態に与える影響を検討することとした。 新鮮ヒト抜去歯より、厚さ0.5から2.5mmの象牙質薄片を形成した。薄片の一方の面にArFエキシマレーザー(λ=193nm)を2.0Wにて照射した。薄片の反対側に接触式温度計測装置を設置し、経時的な温度変化を計測した。対象群としてCO_2レーザーを同様の条件にて照射し、経時的な温度変化を計測した。照射後の象牙質面は臨界点乾燥後金蒸着し走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その結果、ArFエキシマレーザー照射群では、温度上昇は厚さ0.5mmの試料が最も高く、平均3℃であった。一方、CO_2レーザー照射群では温度上昇は厚さ0.5mmの試料で100℃を超えた。SEM観察では、ArFエキシマレーザーの被照射象牙質面は1〜5μmほどの細かい凹凸が観察されたが、CO_2レーザーではいわゆる溶岩状といわれる塊状の構造物が表面を覆っていた。ArFエキシマレーザーは高分子を光プロセスにて分解するとされるが、象牙質ではマトリクスのコラーゲン分子に作用することが考えられる。一方CO_2レーザーはハイドロキシアパタイトにエネルギーが吸収されその結晶を熱溶解することが知られている。こうした、線質の違いが影響し、異なる組織温度の上昇特性およびSEM像という結果となったと考える。
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