研究課題/領域番号 |
14657498
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
谷口 尚 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90171850)
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研究分担者 |
隅田 由香(岩倉 由香) 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10361693)
向山 仁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00242214)
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キーワード | 舌圧 / 舌接触補助床 / 機能評価 / 舌腫瘍 / リハビリテーション |
研究概要 |
当初の計画に従い、舌切除術施行後でPAP適応の患者7名に対し、発音時の口蓋に対する舌の接触圧(舌圧)を計測した。また対照群として、健常者13名の発音時の舌圧を測定した。 被験音は、口蓋と舌の接触によって産生され、且つ、舌欠損患者において誤聴が多いとされている、破裂音[ti]、破擦音[t∫i]、摩擦音[∫i]とした。パラメーターとしては舌圧の最大値(最大舌圧;kPa)と舌接触開始〜最大舌圧発現までの時間(秒)および、最大舌圧の前後比を用いた。対照群10名の舌圧値は被験者間のばらつきが大きかった。これは口腔内容積、舌の体積の個人差によるものと考えられる。健常者では舌圧に特異性がみられた。すなわち、最大舌圧の値は3被験音間で特徴的な大小関係を示した。一方、舌接触開始〜最大舌圧発現までの時間では3被験音間で最大舌圧で見られた順位とは逆の大小関係がみられた。また、最大舌圧の前後比について検討したところ、3被験音で特徴的な大小関係がみられた。一方、舌欠損患者では健常者で見られた傾向が見られなかったが、PAP装着後の舌圧を計測したところ、PAP装着後に舌圧が健常者と同じ傾向を示した。 舌圧の計測によって、PAPの有効性を評価することができることが明らかになった。しかし舌圧の計測値には個人差があるため、各個人内での治療成果の検討はできるが、単独で各被験者間共通の指標として用いるのは困難である。そのため、舌圧のみを基準にして術後の発音、嚥下リハビリテーションのゴールを設定することはできない。これは舌圧の計測値には、口腔内容積、舌の可動範囲を含む運動能力が関与しているためと考えられる。従って今後、各被験者間共通の指標を作るために、口腔内容積及び、舌の運動能力についての検討が必要であり、それらを踏まえた上での舌圧の評価が必要である。
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