研究課題
歯科矯正治療に用いるブラケットと歯質との接着システムとして、治療期間中は十分に高い接着強度を有し、治療終了後は、歯面を傷つけることなく容易に脱着させることができるように接着強度を随時に低下させる接着システムの開発を試みた。研究期間3年において、初年度は乾燥下では高い接着強度を有し、湿潤下では容易に接着強度が低下する接着材料の開発を行った。その結果、接着性モノマー4-METAと親水性のレジンの混合物がこの目的に合致した材料であることを見出した。2年度はその耐水性が低い接着材料について、被着体表面形状を種々変えることにより機械的な維持力を作用させたときに、湿潤かでどの程度の接着耐久性が得られるかを検討した。その結果、耐水性が低い接着材料であっても、機械的な維持力でもって相当な接着耐久性を確保できることが明らかとなった(接着歯学およびDentistry Japan)。最終年度においては、接着層周囲に防水処理を行った場合と行わなかった場合の接着強度を検討した。防水処理として、レジン強化型のグラスアイオノマーセメントとグリースの積層塗布法を適用した。その結果、防水処理を行うことによりステンレス棒同士の20MPa以上の接着強度が37℃水中下で4週間以上ほとんど低下することなく維持できることが明らかになった。一方、防水処理を行わない場合には、1週間以内で数MPa以下に低下した。また、防水処理をして37℃水中に1、2、および4週間保存した試料を防水処理膜を除去して再度37℃水中に保管すると、いずれも1週間以内に数MPa以下に低下した。(国際誌への投稿準備中)以上の結果から、本研究の目的である、水中下で接着強度を維持し、かつ必要に応じてその強度を低下させることが可能であることが判明した。この成果をもとに矯正臨床に応用できるきわめて新しくかつ有用な接着システム実現の可能性が認められた。
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