研究概要 |
本研究の目的は,我々が作出したシェーグレン症候群のモデル動物であるIRF-1強制発現のMRL/lprマウスとそのコントロールマウスの唾液腺や脾臓(免疫担当細胞)からmRNAを抽出し,cDNAを作製,サイトカインや細胞増殖因子を主体とするcDNAチップを用いて,様々な遺伝子の発現,変異,多型を大量かつ並列的に検討することにより,IRF-1強制発現による唾液腺炎の増悪機構,および他の膠原病の発症抑制機構を解明し,シェーグレン症候群の特異性を明らかにすることである.平成14年度においては,我々が作出したIRF-1強制発現MRL/lprマウスおよびそのコントロールマウスの脾臓から調整したcDNAを様々なサイトカインや細胞増殖因子を含む700種類以上の遺伝子を対象としたDNAチップを用いて,大量かつ並列的に解析した.その結果,IgG3 mRNAの発現のように,これまでの我々の研究結果から,ある程度コントロールマウスとの違いが予測された遺伝子発現もみられたが,未だ機能が明らかとなっていない多数のEST(expressed sequence tag)に,コントロールマウスとの違いが見出された.現在,特に違いが際だっているESTに関して,プライマーを作成し,IRF-1強制発現MRL/lprマウスとそのコントロールマウスについて,その遺伝子発現を確認しているところである.また,これまで我々は,IRF-1強制発現MRL/lprマウスのゲノムを解析するために,IRF-1強制発現MRL/lprマウスの基になったMRL/lpr X C57BL/6-IRF-1のゲノムモザイクマウスを約30系統近交系として確立してきたが,平成14年度にはこれらのマウスの系統維持を行うために,凍結受精卵の保存も行った.
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