研究概要 |
連続気孔性をもつ三次元骨梁型構造人工骨の骨伝導能と多血小板血漿(PRP)が骨伝導に及ぼす影響について動物実験骨欠損モデルを用いて検討した。予備実験の結果,x1500G,10分,x3000G,10分で最も効率的に血小板濃縮が生じ、これをPRPとして実験に用いた。ラットの脛骨にエンジンバーにて規格化した骨欠損を形成し、同骨欠損を三次元骨梁型人工骨で補填した。これらを骨欠損のみのコントロール群、ラット血液から採取したPRPを加えた三次元骨梁型人工骨埋入+PRP併用群、PRP単独群とそれぞれ設定し比較検討を行った。軟X線、脱灰標本における組織学的ならびに骨のラベリングによる観察の結果、いずれの群においても16週において完全に欠損部が骨により充満された。新生骨の形成されるまでの期間については、各期間におけるオステオカルシン、オステオポンチンの発現を免疫組織化学的に検討した。その結果、三次元骨梁型人工骨埋入+PRP併用群では、人工骨単独群よりも早く、4週目から新生骨添加が開始していた。また、人工骨単独群では8週から、PRP単独群は12週から新生骨添加が開始し、いずれも骨欠損のみの単独群よりも早期であった。骨形成に関しても、三次元骨梁型人工骨埋入+PRP併用群、人工骨単独群で、他の2群よりも早期に観察されたが、観察期間中に人工骨の吸収、骨への置換は生じなかった。このことから、PRPは三次元骨梁型構造人工骨との併用で、早期の骨伝導に対し有利に働くことが示唆された。しかしながら、スキャホールドがないPRP単独では、有意な骨誘導は生じなかった。以上のことから、PRPの骨伝導能の改善には、適切なスキャホールドの存在が必要であることが示唆された。
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