研究概要 |
申請者らは,コンカナマイシンAという液胞型プロトンATP aseの特異的阻害剤がマウスB細胞ハイブリドーマ,ヒト顎下腺管ガン細胞やヒト扁平上皮癌細胞などの腫瘍細胞に対してアポトーシスを誘導することを明らかにしてきた,またこの薬剤は,腫瘍細胞にアポトーシスを誘導する濃度では線維芽細胞などの腫瘍細胞以外の細胞には,細胞障害を与えないことを明らかにした.さらに,コンカナマイシンAでアポトーシスを誘導させた腫瘍細胞の細胞質内には腫瘍細胞に対してアポトーシスを誘導することのできるタンパク質が存在することも明らかにしてきた. そこで,本研究では,in vitroで得られた知見をin vivoに応用できるかどうかを検討するため,以下のことを行った.まず,ヒト扁平上皮癌細胞を用いて実験癌モデル動物の作成を試みた.次にエレクトロポレーターを用いてコンカナマイシンAを局所投与する条件を検討した.さらに,動物レベルでの腫瘍が抑制できるかを検討した. 本研究で得られた知見は以下の通りである.実験癌モデル動物は,形成された腫瘍を摘出し,in vitroで培養を行い,増殖してきた細胞を維持し,マウスの皮下に接種することで作成した.コンカナマイシンAの局所投与の条件は,電極の形状を工夫し,安定に通電する条件を得た.腫瘍の抑制は,コンカナマイシンAの濃度,電圧,パルス回数等を検討し,若干の抑制効果は得られたが,最大限の効果が得られていないため,現在,最適条件を検討中である.
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