研究概要 |
本年度は,MR撮像にたいして同意の得られた舌・口底切除症例4例(舌可動部半側切除症例3例,舌半側切除症例1例)において,軟口蓋音においてなぜ発話明瞭度に大きな個人差が認められるのかを,安静時および発音時のMRI画像を比較検討することにより考察した。その結果,1.発音時,後鼻棘において声道断面積が広い症例では軟口蓋音に強い障害が認められた。2.安静時と/i/発音時,後鼻棘付近で声道断面積が狭く変化が少ない症例では,母音/a/に障害が認められた。3.母音/i/発音時に舌位が前方に偏位している症例では,/ki/発音時に/tji/,/sji/と構音位置が前方に移動した音に置換されていた。以上の結果より,術後の構音障害の程度は同様の切除範囲であっても、再建後の形態により軟口蓋音に大きな差が現れる事が示唆された。これらの成果は第21回日本口腔腫瘍学会総会にて発表した。 今後,同時に音響分析ソフトにより同被験者の発音時の解析を行い,口腔形態と障害の程度の関連性について検討を重ねる予定である。
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