研究課題/領域番号 |
14657546
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 昭彦 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00037524)
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研究分担者 |
上原 美智也 九州大学, 歯学部附属病院, 医員
青木 義満 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (00318792)
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キーワード | 歯列咬合面圧分布 / 頭部三次元個人モデル / 咬合面圧重心 / 咬合の動的解析 |
研究概要 |
遺伝的要因に加えて顎顔面には筋肉から種々の力が加わり、それによって骨の形成が惹起されて個人特有の顎顔面形態が決まるものと考えられる。噛む力が低下したために顎の大きさが小さくなったということが最近言われているが、明確な証拠に基づいたものではない。歯列に加わる機能圧の大きさだけでなく、力が加わる時間によっても骨形成は大きく影響を受けると思われる。本研究は、我々が開発した頭部三次元モデル構築システムを用いて、咬合機能とくに咬合面圧と顎顔面形態との関係を明らかにすることを目的として計画した。 咬合状態の客観的評価法として数多くの咬合面圧測定法が報告されてきたが、そのほとんどが、最大噛みしめを行わせての測定であった。それらは咬合機能の動的な解析のためには不十分であるため、まず動的状態を記録測定できる装置をニッタ工業(株)とともに開発した。装置のセンサーの特性、検出時間、出力値などの精度検定を行った。そしてこの装置を用いて咬合接触初期から最大咬合力発揮時までの経時的変化を測定し、咬合面圧分布の重心位置および咬合面圧分布の重心移動の様子を記録した。その結果、正常咬合者に比べて各種の不正咬合者では重心のぶれが生じていて咬合が安定していない可能性があることが分かった。以上のことから開発した装置は咬合面圧分布の動的測定装置として充分に臨床応用できるものである.ことを確認した。これらについては第61回日本矯正歯科学会(名古星市)およびOrthodontic waves(日本矯正歯科学会雑誌)に発表した。 目標である咬合面圧分布と頭部形態との関係を三次元的に解析するためには、両者の位置関係を再現するシステムが必要である。そこで咬合面圧測定装置のセンサー部を所定の位置に設定できる頭部固定装置と、その固定装置を被験者の眼耳平面に合わせることによって測定した咬合面圧分布と頭部との関係が再現できる位置決め装置を開発した。このシステムは、測定装置共同開発したニッタ工業とともに、工業所有権の申請を行った。 平成15年度には被験者の正・側面頭部エックス線写真から構築した頭部三次元モデルに、今回開発したシステムを用いて咬合面圧分布のデータを組み込み、重心のベクトルと頭部構造の関係について三次元解析を始める予定である。
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