研究概要 |
近年,齲蝕診査は視診を中心に初期齲蝕の診断にはCPIプローブを用いて検出する方法が国際的にも認知されているが,わが国の小児の口腔状況での合理的方法での検討がみられない。そこで,永久歯エナメル質咬合面裂溝齲蝕の客観的診断法を確立する目的で,小児期の第一大臼歯42歯を被験歯に,先端太さが異なる鋭利,0.25,CPIの3種類のプローブを作成し,プローブ審査および視診による齲蝕および色調の診査を行った。客観的検査法としてレーザー齲蝕診断器DIAGNOdent(KAVO)にて測定し,プローブ診査,視診による齲蝕および色調診査との関係について検討した。同時に抜去歯の歯について,上記のような診査を行い,抜去後切片標本を作製し,組織学的な検索を行った。その結果,プローブとDIAGNOdent値との関係については,鋭利プローブと0.25プローブとの間に有意な差はみられなかったが,CPIプローブと鋭利プローブおよび0.25プローブとの間に有意な差がみられ,CPIプローブは大きい値を示した。また,視診による診査とDIAGNOdent値との関係では,C歯とCOおよび健全歯との間に有意な差が認められた。組織標本での検討では,齲蝕診査では0.25プローブの脱灰像はエナメル質に限局し,CPIプローブでは象牙質に脱灰が波及していた。 このような結果からCPIプローブと0.25プローブを用いて齲蝕の診査診断することは,より合理的な初期齲蝕診断法であることが示唆された。今後は抜去歯による検討を数と内容を増やし行う予定である。
|