研究課題/領域番号 |
14657551
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
近藤 尚知 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70343150)
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研究分担者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70161049)
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キーワード | セメント質 / 歯根膜 / マイクロアレイ解析 / レーザーキャプチャー / 非脱灰凍結切片 |
研究概要 |
レーザーキャプチャー顕微鏡を用いたマイクロダイセクションシステムは、顕微鏡観察下において組織切片から単一の標的細胞集団のみを正確に採取して、その標的細胞からRNAの抽出を可能にした画期的なシステムである。そして、その正確に分離・採取された各細胞集団から得られたRNAを比較解析すれば、それぞれに特異的なマーカーを同定することも可能だと考えられる。 現在までの検討で、脱灰パラフィン包埋切片では、その処理過程においてRNAの崩壊が激しくマイクロアレイなどの遺伝子配列の検索には適していないことが明らかになった。したがって、非脱灰凍結切片の作成が必要となったが、骨と歯牙を含む組織においては、これが困難極まるものであった。申請者は、特殊なタングステンナイフとクライオフィルムを併用することによりレーザーキャプチャーマイクロダイセクションが可能な非脱灰凍結切片を作成することに成功した。その過程においては、フィルムの種類また、接着剤とそれぞれの試薬の処理時間の検討に多くの時間がかかった。さらに、セメント芽細胞と歯根膜細胞とでは、レーザービームの至適強度に差があることもわかった。そしてそれらの組織から抽出したRNAは28Sおよび18Sのピークが明確で、さらに、そのサンプルを用いたRT-PCR解析においても明瞭なGAPDHのバンドが確認され、RNAのクウォリティの高さを示唆する結果が得られた。上記の検討により、セメント質および歯根膜組織から遺伝子配列の解析が可能なRNA抽出法が確立され、各組織に特異的なマーカーの検索と機能解析の準備が全て整った。 現段階では、マイクロアレイ解析を行うには抽出されたRNAの量が少ないため、RNA増幅キットを用いて、その量を増加させている過程にあり、間もなくマイクロアレイ解析に移行する予定である。
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