研究概要 |
新潟大学歯学部付属病院を来院した163名の歯周炎患者と104名の年齢・性の対応した対照者よりインフォームドコンセントを得た後、末梢血を採取してゲノムDNAを抽出した。歯周炎患者は問診、歯周組織検査の結果により成人性歯周炎群と早期発症型歯周炎群に分類した。CD14遺伝子のプロモーター領域をPCR増幅し、PCR産物を精製後、2種類の制限酵素(HaeIII, AvaII)を用いて消化した。電気泳動のパターンによりCD14遺伝子プロモーター領域-159の部位の多型を解析した。歯周炎患者群全体の遺伝子型の分布はCCが24.5%、CTが43.6%、TTが31.9%であり、対照群のそれ(CC;18.3%、CT;47.1%、TT;34.6%)と統計学的に有意な違いは認められなかった。歯周炎患者群を成人性歯周炎と早期発症型歯周炎に分類すると、両者の遺伝子型の分布は有意に異なっていた。成人性歯周炎群では対照群と同様の分布を示し、ヘテロ接合体がもっとも多かったのに対し、早期発症型歯周炎患者群ではTTのホモ接合体がもっとも頻度が高かった。一方、CあるいはTのアリル頻度については歯周炎群と対照群、成人性歯周炎群と早期発症型歯周炎群のいずれにおいても有意な違いは認められなかった。-159Tのトランスフェクタントを用いた実験ではCD14遺伝子の転写活性が上昇しているとの報告があることから、-159TTの患者においては歯周病原細菌由来LPSに対する応答性が上昇することで歯周炎に対する感受性が高まっていることが示唆された。
|