研究課題/領域番号 |
14657555
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西村 英紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80208222)
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研究分担者 |
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00274001)
槙野 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50165685)
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キーワード | 肥満 / 虚血性心疾患 / インスリン抵抗性 / 慢性炎症 / 高感度CRP / 歯周炎 / Porphytomonas gingivalis / 血清IgG抗体 |
研究概要 |
肥満が危険因子となって発症する一連の疾患群(2型糖尿病、高血圧、動脈硬化症、高脂血症、上半身肥満等)は仮に個々の疾患の程度が軽度であっても複数個合併することで最終的に虚血性心疾患で死亡する危険性が極めて高いことから危険因子重積症候群あるいはインスリン抵抗性症候群と総称されている。近年、これらのうち2型糖尿病の発症や動脈硬化症の進展にsub-clinical rangeの慢性炎症が深く関わると考えられるようになった。その代表が肥満症である。肥満者では急性炎症マーカーであるc-反応性蛋白(CRP)のレベルが従来健常域とされた範囲のなかであっても高めの値を維持すること、体重減少によって低下することが明らかにされている。また、CRP値の上昇は将来の虚血性心疾患を予測するうえで極めて有効なマーカーであると考えられている。肥満者におけるCRP値の上昇は、脂肪細胞から産生されるインターロイキン-6が肝細胞からのCRP産生を促進することに由来すると考えられている。歯周炎も生体にとってはsub-clinical rangeの慢性炎症と捉えることができる。そこで肥満の影響を排除して歯周感染とCRP値の相関関係を調べた。その結果、非肥満糖尿病患者では歯周病菌Porphytomonas gingivalisに対する血清IgG抗体値と高感度CRP値が有意に相関することを見出した。すなわち、歯周病に伴う感染によってCRP値が上昇し全身の免疫応答が惹起されることを明らかにした。 以上の結果から、慢性歯周炎の存在は肥満類似の機序で全身の炎症反応を持続させ、動脈硬化の進展に関与する可能性を示した。最終年度(平成15年度)は、歯周治療によってCRP値が減少するかどうかを調べる予定にしている。
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