電極とタンパク質間の電子授受を仲介する「インターフェイス」の設計と合成を実施し、さらに電子授受特性の一部を検討した。インターフェイス材料としてポリアミンの側鎖にフェロセンを含有するポリフェロセンを合成した。アミノ基に対してフェロセンの含有量は4モル%程度として水溶性とした。このポリフェロセンを金電極表面に交互累積膜法により薄膜状に被覆して、インターフェイスを装着した電極を作製した。水晶振動子ミクロバランスや吸収スペクトルを用いた評価から、良好な薄膜状インターフェイスが作製できることを確認した。また、交互累積膜法によりインターフェイスの厚さを任意に調節する方法も確立した。 次に、電気化学法によりこのインターフェイス装着電極の電子授受特性を評価した。その結果、フェロセンは金電極との間で安定で可逆的な電子授受を行うことが明らかになった。さらに、インターフェイス薄膜の厚さや構成材料の種類を変えると電子授受特性を制御できることも判明した。厚さが薄いときは表面吸着型の電子移動特性を示したが、厚くなると拡散支配型の電子移動挙動を示した。また、薄膜内部や表面の電荷の影響により電子移動特性は著しく変化した。すなわち、表面に正の電荷が存在するときには電子移動が促進され、負電荷が表面にある時には抑制された。これらの結果をもとに、現在タンパク質と電極間の電子授受特性の評価を行っている。
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