研究課題/領域番号 |
14657591
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 賢一 京都大学, 医学研究科, 教授 (70034030)
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研究分担者 |
桂 敏也 京都大学, 医学研究科, 講師 (10283615)
奥田 真弘 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70252426)
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部, 教授 (40225727)
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キーワード | トランスポータ / 薬物体内動態 / ペプチドトランスポータ / 有機カチオントランスポータ / 有機アニオントランスポータ / P-糖蛋白質 / 発現調節 |
研究概要 |
薬物トランスポータは薬物の体内動態を規定する重要な因子の一つであり、その発現量の変動によって薬物体内動態の個体間変動が生じるものと考えられる。薬物の吸収・分布・排泄をコントロールしうる体内動態制御薬開発の基盤構築を目標とし、本年度は、まず種々の病態やホルモン等の内因性物質が薬物トランスポータの発現変動に及ぼす影響について精査した。その結果、小腸ペプチドトランスポータPEPT1の発現量が、甲状腺ホルモンや日内変動によって調節されることや、慢性腎不全時に有機カチオントランスポータOCT2の発現が顕著に減少し、その変動が血中テストステロン濃度によって調節されていることなどを明らかにした。一方、有機アニオントランスポータOAT1,OAT3の発現は慢性腎不全時に変化しなかったことから、薬物トランスポータによって異なる調節を受けていることが示唆された。また、種々ヒト型有機イオントランスポータ群のヒト腎臓における発現量について定量的に解析し、各薬物トランスポータ間でその発現量に大きな差が認められることを明らかにした。さらに、トランスポータ遺伝子の多型と発現量との関係をP-糖蛋白質について解析した結果、P-糖蛋白質をコードする遺伝子MDR1の多型は小腸・腎臓における発現量に影響しないことを示した。現在、薬物トランスポータの発現量変動評価系構築の基盤となる薬物トランスポータの転写調節領域の解析に着手し、有機カチオントランスポータOCT1,OCT2の5'側非翻訳領域の遺伝子を単離し、その転写調節領域に関する解析を進めている。
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