研究課題/領域番号 |
14657601
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濃沼 信夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60134095)
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研究分担者 |
荒井 陽一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50193058)
斉藤 誠一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80235043)
伊藤 道哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70221083)
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キーワード | 再燃前立腺がん / QOL / 経済評価 / SF-36 / UCLA-PCI / EuroQol / TE療法 / 医療費 |
研究概要 |
【研究目的】わが国においても増加傾向にある前立腺がんは、治療が長期に亘ることが多いため、治療には臨床面、QOL面、経済面に配慮した合理的な意志決定が必要となる。特に、内分泌療法に抵抗性を示す進行前立腺がん(HRPC)は、治療に難渋することが多く、臨床判断には生存期間、奏効率などの指標に加え、QOLと経済面の検討が欠かせない。本研究は、再燃前立腺がんに対する治療法を総合的に評価するためのツールの開発を目的とする。 【対象と方法】早期及び進行性前立腺がんの治療についてQOL面と経済面を検討した。前者は大学病院を含む4施設において、前立腺全摘除術を受けた患者を対象に、SF-36、UCLA-PCI、IPSS(尿失禁以外の排尿症状の把握)を用いてQOLを測定した。後者はパクリタキセル(PTX)とリン酸エストラムスチン(EMP)の併用療法(TE療法)を行った患者のQOLをEORTC前立腺がんQOL調査票とEuroQolで把握した。医療費は治療期間中の診療報酬明細書を分析した。 【結論】1)限局性前立腺がんにおける手術療法後のQOLは良好に保たれる。術後尿失禁は継続するが、術後6ヶ月以降は軽度であり、患者が受容できる範囲と考えられる。 2)手術後はEDを認め、特に若年層においてはその心理的負担感は大きく、今後の課題である。 3)前立腺全摘術後の排尿機能の評価では、前立腺による閉塞症状は改善するが、膀胱刺激症状は改善新しない。 4)前立腺全摘術の医療費は約150万円であり、進行がんであるほど高額となる。施設間格差も大きい。 5)進行性前立腺がん患者のQOLは、治療後も比較的よく保たれるが、再燃前立腺がん患者のQOLは低下する。 6)TE療法後のQOLは改善を認め、臨床的治療効果の不良群においてもQOLは比較的保たれる。 7)HRPCに対するTE療法は、QOLの面からも有効と考えられる。
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